現実売買 【げんじつばいばい】 |
契約が成立すると同時に、「財産権移転義務」と「代金支払義務」が即時に履行されるような売買契約のこと。
例えば、スーパーで品物をレジに持っていって、その代金を支払うというような売買が現実売買である。
現実売買も通常の売買契約と同様の法規範が適用されるので、物に瑕疵や欠陥があった場合には売り主の担保責任または債務不履行責任が適用される。 |
原状回復義務 【げんじょうかいふくぎむ】 |
契約によって履行された給付をその解除によって契約前の状態に戻す義務をいう(民法545条1項本文)。契約の解除は、有効に成立した契約の効力を当初に遡って消滅せしめるものであるから、契約によって給付がなされていれば、それがなかったときと同一の状態(原状)に戻す義務を生ずる。ただし、物が第三者に転売されているような場合には、解除によってその所有権を奪うことは許されない(同条同項但書)。原状回復の方法は、物を給付したときはその物自体か、それができないときは解除当時の価格を返還すべきであり、金銭給付の場合には、受け取ったときからの利息を付して返還しなければならない(同条2項)。
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原状回復義務 【げんじょうかいふくぎむ】 |
建物賃貸借契約の終了時における借り主のなすべき義務のひとつ。
契約期間の満了に伴う借り主からの解約の申入れ等によって、建物賃貸借契約が終了したとき、建物賃貸借契約は将来に向かって消滅する(民法第620条)が、借り主は当該建物を賃貸借契約の開始時の状態に戻す義務を負う(民法第545条・第546条)。
この借り主の義務を「原状回復義務」と呼んでいる。
この原状回復義務について、借り主がどこまで建物を原状に戻す義務を負うかに関してはさまざまな見解がある。
過去の裁判例では、通常の用法に従って使用していたにもかかわらず発生してしまった汚損や破損については、契約において特約がない場合には、借主は原状回復義務を負わないと解釈する傾向にある。 |
現状有姿売買 【げんじょうゆうしばいばい】 |
不動産取引で、売買契約書中に「現状有姿(のまま)」「現状有姿にて引き渡す」等の文言が記載されることが少なくないが、その意義、具体的な内容については業界でも定説がない。現状有姿は、引渡しまでに目的物の状況に変化があったとしても、売主は引渡し時の状況のままで引き渡す債務を負担しているにすぎないという趣旨で用いられることが多いが、単に現状有姿との記載があるからといって、これをもって直ちに、売主の瑕疵担保責任の免責についての合意があるとまではいえない(宅建業法40条、民法570、566条参照)。 |
原生自然環境保全区域 【げんせいしぜんかんきょうほぜんくいき】 |
原生状態を維持している一定以上の面積を有する国や自治体の所有地について、環境大臣が指定する区域(自然環境保全法第14条)。
建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、汚水や廃水の排出、車・馬・動力船の使用と航空機の着陸、植物・動物の採取・損傷、火入れ・焚き火、屋外での物の集積貯蔵、家畜の放牧などがすべて禁止される。 |
建設業法 【けんせつぎょうほう】 |
昭和24年に制定された建設業に関する法律。具体的には次のような内容を規定している。
1)建設業を営むには知事又は国土交通大臣の許可を受ける必要がある。
2)工事請負契約を締結する際に、契約書を作成することを義務付ける(建設業法第19条)。
3)上記2の契約書に一定の事項を盛り込む義務がある。具体的には、工事の内容、代金の額、代金の支払方法などの事項を記載しなければならない(建設業法第19条)。
4)受注した工事を一括下請負(いわゆる丸投げ)に出すことが原則的に禁止される(発注者が書面による承諾を与えた場合にのみ一括下請負が可能とされる)(建設業法第22条)。 |
建設工事標準請負契約約款 【けんせつこうじひょうじゅんうけおいけいやくやっかん】 |
中央建設業審議会や建設業界の業界団体が制定している、建設工事の請負契約のモデル契約書のこと。
建設業法第19条では工事請負契約の書面化を義務としているが、建設工事標準請負契約約款はこの建設業法第19条に適合する契約書として、現実に建設業界で広く使用されている。
建設工事標準標準請負契約には次のような種類がある。
1)公共工事に関しては、中央建設業審議会が「公共建設工事標準請負契約約款」を制定している。
2)民間工事に関しては、中央建設業審議会が「民間建設工事標準請負契約約款」を制定している。
3)民間工事に関しては、建設業界の業界団体(全国建設業協会など4つの団体)が2)の約款をベースとして、「四会連合協定工事標準請負契約約款」を制定した。
4)その後上記3において2つの団体が加入したため、上記3)の約款の名称が「民間連合協定工事標準請負契約約款」と改められた。 |
建設住宅性能評価書 【けんせつじゅうたくせいのうひょうかしょ】 |
登録住宅性能評価機関が、実際に住宅を検査することにより作成した住宅性能評価書を「建設住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第6条、同施行規則第5条)。
品確法では、建設住宅性能評価書を交付された新築住宅については、建設住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま売買契約の契約内容になる場合があると規定しており、この規定により買主保護が図られている。(詳しくは「住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係」へ)
新築住宅について建設住宅性能評価書が作成されるには、「設計住宅性能評価書の作成」「建設住宅性能評価書の作成の申請」「検査の実施」「建設住宅性能評価書の作成」という過程を経る必要がある(詳しくは「新築住宅の建設住宅性能評価書」へ)
また既存住宅について建設住宅性能評価書が作成されるには、「建設住宅性能評価書の作成の申請」「現況検査」「個別性能評価」「建設住宅性能評価書の作成」という過程を経る必要がある。(詳しくは「既存住宅の建設住宅性能評価書」へ)
これらの建設住宅性能評価書に記載されるべき事項については、国土交通大臣が基準を定めている。(詳しくは「日本住宅性能表示基準」へ)
なお、建設住宅性能評価書が交付された住宅については、原則として1万円の費用負担で弁護士会に紛争処理を申請することができる。(詳しくは「指定住宅紛争処理機関」へ) |
源泉徴収票 【げんせんちょうしゅうひょう】 |
正式名称は「給与所得の源泉徴収票」。
雇用者が、毎年1月初めに給与所得者に渡す書面である。
この源泉徴収票の「支払金額」の欄には、給与収入が記載される。
また給与収入から給与所得控除を差し引いた残額(給与所得)は「給与所得控除後の金額」の欄に記載される。
給与収入から給与所得控除を差し引き、さらに各種の所得控除を差し引いた残額は「所得控除後の金額」の欄に記載される。
なお「源泉徴収税額」は、給料や賞与からすでに差し引かれた源泉徴収の額の1年間の累計金額(年末調整を終了した後の累計金額)である。 |
源泉分離課税 【げんせんぶんりかぜい】 |
上場株式等の売却益について、株式売却時に売却代金の1.05%が天引きされて、所得税の納税がすべて完了するという制度のこと。
株式売却時に売却額から証券会社が天引きして納税するため、税務署にて確定申告を行なう必要がないので、個人投資家にとって便利な制度であった。
しかしこの源泉分離課税の制度は、平成14年12月31日をもって廃止されたため、現在では上場株式等の売却益については申告分離課税が一律に適用されることになっている。(詳しくは「申告分離課税」へ)
この源泉分離課税における税率1.05%とは、売却益を売却代金の5.25%とみなして、それに所得税率20%を乗じたものであった(ちなみに住民税は源泉分離課税では非課税扱い)。
このように源泉分離課税では、売却益がどれだけ大きくても、売却額の1.05%で納税が完了するというメリットがあった。その反面、売却損が発生しても課税されてしまうというデメリットもあった。 |