替地による補償 【かえちによるほしょう】 |
土地所有者または土地に関する関係人(土地に関する担保権者を除外)は金銭の代わりに、土地そのもの(または土地に関する所有権以外の権利)を損失補償として要求することができる。これを「替地による補償」という(土地収用法第82条)。
土地所有者または土地に関する関係人(土地に関する担保権者を除外)から替地の要求があった場合、収用委員会の裁決(権利取得裁決)に基づいて、収用者(起業者)は、替地である土地(または土地に関する所有権以外の権利)を提供することができる(土地収用法第82条)。
また、土地所有者または土地に関する関係人(土地に関する担保権者を除外)が、起業者の所有する特定の土地を指定して替地を要求することも可能である。 |
価格査定 【かかくさてい】 |
宅建業者が売却の媒介依頼を受けた不動産に関し、専門家の立場から依頼者へ助言する合理的希望価格の形成のための成約見込価格を調査・算出することをいう。業者は売買すべき価額について依頼者に意見を述べるときは必ず一定の標準的手法に従い、選択した取引事例を根拠として明示し、依頼を受けた不動産と比較検討して、客観性ある実際的な成約見込価格によらなければならない。この手法が価格査定マニュアルである。これに要する費用は媒介の成功報酬に含まれる(宅建業法34条の2第2項)。
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確定申告 【かくていしんこく】 |
確定申告とは、所得を申告するために、税務署に備え付けられている「確定申告書」という書面に必要事項を記入して、住所地の税務署に提出することを指す。
一般の勤労者の場合は、毎月の給料と賞与から所得税が自動的に源泉徴収され、さらに年末調整によって所得税の納税が完了する。
従って通常は、一般の勤労者は所得税の納税について確定申告を自ら行なう必要はない。
しかし住宅ローン控除を1年目に受ける場合、給与を二ヵ所以上から受けている場合、医療費控除を受ける場合などには、勤労者が自ら住所地の税務署に出向いて、確定申告を行なう必要がある。
確定申告書の記入は一般の個人には非常に難しい。そこで確定申告の時期には、各税務署の中で、地元の税理士会に所属する税理士たちが無償で個人の相談に乗り、確定申告書の記入を無償で代行してくれている。
確定申告は、毎年2月16日から3月15日までに行なうこととされている。ただし所得税の還付を受ける場合には、2月16日以前でも確定申告を行なうことができる。
なお不動産の貸付けによる所得(不動産所得という)がある個人は、必ず確定申告を行なう必要がある(詳しくは「青色申告」、「白色申告」へ) |
隠れたる瑕疵 【かくれたるかし】 |
「瑕疵」とは「きず」「不具合」「欠陥」という意味である。
「隠れたる瑕疵」とは、特定物(新築住宅・中古住宅・土地など)の売買契約を締結した時点において、買主が知らなかった瑕疵であり、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせたにもかかわらず発見できなかった瑕疵のことである。
例えば中古住宅の売買において、屋根の一部に欠陥があったため、引渡し後に雨漏りが発生したとする。
この場合、屋根の欠陥が「瑕疵」に該当する。
そして買主が売買契約当時にこの欠陥があることを知らず、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせても、この欠陥を発見することができなかったであろう場合には、この欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当すると言える。
民法(第570条)では、特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵」があったとき、売主は買主に対して「瑕疵担保責任」を負うものと規定している。
このため、隠れたる瑕疵があるとき、買主は売主に対して原則的に、損害賠償などの請求をすることができる(民法第570条)。 |
花崗岩 【かこうがん】 |
火成岩の一種。産出量が多く、磨耗に強いことなどから、床材・壁材などに多用される。ただし耐火性が小さいという欠点もある。
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瑕疵ある意思表示 【かしあるいしひょうじ】 |
「内心的効果意思」と「表示行為」は対応しており、一見正常な意思表示であるかのように見えるが、内心的効果意思を形成する際の「動機」に対して他人の強迫や詐欺が関与しているもの。
言い換えれば、内心的効果意思の正常な形成が他人の強迫・詐欺により阻害されている意思表示のことである。瑕疵とは「きず」という意味である。
瑕疵ある意思表示には、詐欺による意思表示と強迫による意思表示の2種類がある。 |
瑕疵担保責任 【かしたんぽせきにん】 |
売買の目的物に隠れた瑕疵があったとき、売主が買主に対して負う責任をいう(民法570条)。「売主の担保責任」の一形態である。瑕疵とは、建物にシロアリがついていたとか、土地が都市計画街路に指定されていたことなどをいう。買主は、善意無過失である限り、契約時にわからなかった瑕疵のために損害を受けたときは、売主に対して賠償請求をすることができる。また瑕疵のため契約の目的を遂げることができない場合には、契約を解除することができる(同法566条1項)。ただしこれらは、買主が瑕疵を知ったときから1年内にしなければならない(同法570条、566条3項)。また強制競売で物を買った(競落した)場合には、買主にこれらの権利は与えられない(同法570条但書)。 |
瑕疵担保責任 【かしたんぽせきにん】 |
1)売買契約における瑕疵担保責任
特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵(かし)」があったとき、売り主は買い主に対して損害賠償等の責任を負う場合がある。
このように売り主が買い主に対して負うべき損害賠償等の責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいる(民法第570条)。
「特定物」とは、取引当事者がその物の個性に着目して取引するような物のことであり、具体的には、美術品、中古車、不動産(土地・新築建物・中古建物)などのことである。
また「隠れたる瑕疵」とは、買い主が取引において一般的に必要とされる程度の注意をしても発見できないような、物の品質・性能に関する「欠陥」のことである。
例えば、中古住宅の売買において、売買契約後に中古住宅に雨漏りが発生し、その原因が売買契約当時に存在した屋根の欠陥であるならば、売り主は買い主に対して「瑕疵担保責任」を負うこととなる。
このような売り主が負うべき「瑕疵担保責任」の具体的な内容は次のとおりである。
a)買い主は売り主に損害賠償を請求することができる(民法第570条)。
b)瑕疵の程度が、売買契約の目的を達成できないほどに重大であるときは、買い主は売買契約を解除できる(民法第570条)。
c)瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法上には特に定めがない。例えば契約書において「中古住宅を買主に引き渡した日から1年間だけ売り主は瑕疵担保責任を負う」と定めることも民法上は可能である。
d)損害賠償請求や契約解除ができる期間は「買い主が瑕疵の存在を知った時から1年以内」に制限されている(これを「権利行使期間」という)。
なお、宅地建物取引業法や住宅品質確保法では、上記c)について特別な規制を設けている。(詳しくは「瑕疵担保責任(宅地建物取引業法における〜)」「売り主の瑕疵担保責任(品確法における〜)」へ)
2)建築請負契約における瑕疵担保責任
特定物の売買契約だけでなく、建築物などの建築請負契約についても、民法では請負人の「瑕疵担保責任」を定めて、注文者を保護している(民法第634条から第640条まで)。
この民法における請負人の「瑕疵担保責任」の具体的内容は次のとおりである。
a)建築請負工事の注文者は、請負人に対して建築物の欠陥についての損害賠償を請求することができる(民法第634条第2項)。
b)建築請負工事の注文者は、請負人に対して建築物の欠陥を補修する工事を行なうよう請求することができる(民法第634条第1項)。
c)瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法第638条により「コンクリート造などの建築物では引き渡しから10年、木造などの建築物では引き渡しから5年」と定められているが、この10年・5年の瑕疵担保責任期間は契約により短縮できる。そのため実際の建築請負契約書では「引き渡しから2年」とされることが多い。
d)損害賠償請求や補修工事の請求ができる期間は「注文者が瑕疵の存在を知った時から1年以内」に制限されている(民法第638条第1項)。
なお住宅品質確保法で、上記c)について特別な規制を設けて、注文者保護を強化している。 |
瑕疵担保責任(宅地建物取引業法における〜) 【かしたんぽせきにん(たくちたてものとりひきぎょうほうにおける)】 |
特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵」があったとき、売り主が負うべき責任を「瑕疵担保責任」という(民法第570条)。
この瑕疵担保責任の規定により、買い主は瑕疵の存在を知った時から1年以内に限り、売り主に対して損害賠償を請求し、または契約を解除することができる(民法第570条)。
しかし売り主の側からすると、この民法570条の規定に従うならば、例えば買い主が5年後に瑕疵の存在を知った場合でも、売り主は瑕疵担保責任から逃れることができないことになる。こうした点を考慮して、宅地建物取引業法では、次のような規定を設け、買い主が瑕疵担保責任を追及できる期間を制限した。
1)宅地建物取引業者が、自ら売り主として土地・建物を売却するとき、買い主が瑕疵担保責任を追及できる期間を「土地・建物の引渡しの日から2年間」とすることができる。
2)上記1)の場合を除き、宅地建物取引業者が、自ら売り主として土地・建物を売却するときには、瑕疵担保責任の内容について民法の規定よりも買い主に不利となるような特約をすることはできない。
なお新築住宅の売買契約については、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により買主保護が強化されている。このため、新築住宅の売買契約に関しては、宅地建物取引業法よりも、品確法のほうが優先される。(詳しくは「売り主の瑕疵担保責任(品確法における〜)」へ) |
瑕疵担保責任についての特約の制限 【かしたんぽせきにんについてのとくやくのせいげん】 |
宅建業者が自ら売主となる宅地、または建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についてこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされている。買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年未満の期間とすることのほか、契約解除も損害賠償も認めず補修のみを行うとするもの、瑕疵の個所によっては責任を負わないとするもの等があげられる。宅建業法は、このような買主に不利な特約を制限するとともに、これに反した特約は無効としている(宅建業法40条)。
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