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第二十五の鉄人 | 鳥取県在住 T.T. | |
U.今後の展開を考える 私のマンション投資の20年(9) 広告利回り・実際の利回り |
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ここからはあくまでもざっくりとした話ですが、「ローン金利以上に物件利回りがあるのだから買った方がいいのでは」という考え方もあります。正しいと思います。私も一時期そういう考えで購入していましたが、行動をとるには慎重を期す必要があります。実際の物件利回りはそこまで高くはありません。それに気づくには時間がかかりました。 持ち続けて運営していると分かってきます。空室による収益減。退去後の現状回復や設備・機器故障修繕、募集広告費、税金・・・様々な出費が利回りを下げます。「実際いくらなのよ?」「がっかりするほど低いです」「赤字寸前じゃん」と気づくわけです。私がそうでした。前回の「私のマンション投資の15年」でそのあたりの利回り下落を自分の持ち物件の実績として記載させて頂きました。 ローン購入の場合、「イールドギャップ」という言葉があります。ローン購入するとき、イールドギャップを判断材料にします。物件利回りとローン金利の差です。過去にも書きましたがその物件の実質利回りは売り出し広告での数字であって売り出し時の瞬間最大利回りです。それはその時のことであって(満室で設備の故障等なし)、現実はそれほど高くないということです。購入後、1年以上も運営していると2〜3%前後は買った時の利回りを下回って回っているはずです。賃貸に「退去」というものがある限りそうなります。 物件利回りの下落を分かりやすく言うと、 ・500万で月々4万円の家賃の物件を購入。管理費等を引くと月々手取り3万円。 ・年間収益は36万円(3万円×12か月) ・36万円÷500万=7.2%(実質利回り) ・・・(その実質利回り7.2%で購入した物件で購入初年度、購入後8ヶ月で早々退去があったとします)・・・ ・8か月は家賃収入があり24万の収入 ・仮に内装原状回復に12万、給湯器交換に12万かかったと仮定。その後空室4か月。 ・であれば収入24万に対し、出費24万。その後空室4か月ですから収入はゼロ。 その年の収支はプラスマイナスゼロ。利回りはゼロ%です。一年のうち8か月居住者が住んだとしてもです。実質利回り7.2%の物件を買ったはずなのに、その一年の利回りはゼロなのです。 ちなみに、給湯器交換はイレギュラーかも知れませんが、もしも6か月の入居で6か月の空室もありえないことではありません。また固定資産税として家賃の一か月分程度は支払いがあります。管理を賃貸管理会社に委託していれば、入居期間中は家賃の5%程度の支出があります。そして実際にはこれもローンを組んで買ってない場合ですから、ローン支払いがあったら・・・。十分利回りがゼロかマイナスなのです。ローン支払いを利回り計算に入れるのはどうかとも思いますが、※キャッシュフローがゼロなのは事実です。 キャッシュフローは文字通りお金の流れのことですが、不動産投資では収益である家賃収入からローン、税金、様々な経費などを支払ったあとに残る利益のことです。 さて、2年目満室で何も出費がなくて2年の通算利回りは3.6%。3年目満室で何も出費がなくて3年通算利回りは4.8%です。そうしているうちにまた退去があります。最初の実質利回り7.2%はその一時点、広告時点の利回りです。売買時の広告利回りから3年通算利回りは2.4%落ちています。長く所有していて初めてその物件の本当の利回り、商品力が分かります。運営してみての実質利回りは低いのです。つまり銀行借り入れ金利と比較して、実際のイールドギャップは小さいわけです。 経験値からですが、おおよそ購入後3年程度見て、私の月々の持ち出しが発生した物件(赤字運営)と持ち出しが発生しなかった物件(黒字運営)から見ると購入時のイールドギャップは最低でも5%以上は必要ではないか。安全を考えれば6%以上ある買い方をしないと商売としては成り立たないのではないかと思います。投資用のローン金利が2%、3%なら、最低でも8%、9%のものを買わなければ回っていかないという計算です。 投資エリアの賃貸事情、ローンの組み方によっても違います。イールドギャップは私の経験から持つイメージとしては投資エリアによって7%(Aエリア)くらい必要なところもあれば、4%(Bエリア)くらい必要というところもあります。だからローン金利3%でイールドギャップ6%以上確保するなら、目安としてAエリアで10%、Bエリアでは7%程度の実質利回りで出回っている物件でなければ私は買いません。Aエリアがどこで、Bエリアがどこか、だいたい想像できると思います。今の売買広告を見るとAエリアでもBエリアでも良い物件だなと思ってみても、微妙に平均2%前後利回りが足りていません。 購入してみすみす損することはしません。売買時の広告利回りを信じると失敗する可能性があります。持つことで損をするのです。望んだ投資ではないはずです。 もしも初めて購入したマンションが初年度利回り0%なら(極端な例ですが、ないとはいいきれない)、大赤字です。7.2%の利回りで買ったはずなのに現実はこうなの?と驚かれ早々にマンション投資からリタイアされる方もあるのではないかと思います。対策はあります。リスクヘッジとして複数持つことです。黒字物件があればその物件の最初の大赤字も緩和されます。さらにもう一部屋もてば、もっと緩和される可能性もあるわけです。緩和されるというのは持ち物件全体としての利回りが向上するということです。投資家が様々な金融商品を組み合わせて考えるように、様々な特性の持ち物件のポートフォリオを作っていくことがリスクヘッジのポイントかなと思います。 |