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マンション投資の鉄人

第一の鉄人   札幌市在住M. S.
(コンサルタント業)

「北海道でも進む都心回帰現象 - 札幌不動産最新事情」


私は、今年2015年から生まれ育った札幌に生活の拠点を移しました。

 北海道大学を1982年に卒業してからは、東京、横浜、アメリカ(ニューヨーク)、札幌、アメリカ(ノースキャロライナ)、東京、千葉というように転々と住居を移し、55歳でセミリタイアして、札幌に戻って来たわけです。最近は、私のようにリタイア後、故郷札幌に戻ってくる人が多いと聞きます。札幌を離れてからも、毎年3〜4回は親孝行やレジャーなどで来ることはありましたが、春や夏の気候の良い時期だけだったので、真冬の札幌生活はしばらくぶりです。

 一般論でいうと、「関東地方の冬は比較的温暖で、真冬の札幌の寒さは厳しい」となってしまいますが、両方を経験している私としては、「関東地方の冬の気温は比較的高いかもしれないが、乾いた風は冷たく、主な暖房もエアコンなので身体が冷え切ってしまう。春の訪れは早く3月には春の陽気を楽しむことができる」。
 対して札幌は、「真冬の札幌はマイナス気温で白い雪が視覚的にも寒さを強調する。しかし、外に出る時は、防寒をしっかりするので以外と寒さは感じない。ウインタースポーツ好きにはたまらない季節だ。室内は暖房がしっかりしているのでビールが美味しいほど暖かい。しかし、東京が春めいてくる3月の雪解け時期は、道路が泥だらけでいただけない。ポカポカしてくる春の訪れは5月の連休あたりから」というところでしょうか。

 東京の夏の高温多湿の不快さと、冬の札幌の厳しさのどちらが好きか嫌いかの好みの問題だと思います。
その厳しい冬も2月の雪まつりが終わると峠を越してきます。最近(2月下旬)は、温暖な日が続き、道路の雪も既にだいぶん解けてきました。しばらくぶりに生活者として札幌に住んでみると、街並みが大きく変わったことを実感します。特に札幌駅前や大通り公園周辺の再開発が進み、近代的な高層オフィスビルやタワーマンションが沢山建ちました。こんなにタワーマンションや大規模マンションが乱立していてそんなに需要はあるのかと思いましたが需給関係は健全なようです。
 一つの理由は、道内の地方都市から札幌への一極集中です。私が子供の頃に札幌は、100万都市札幌と言われていましたが、今は約2倍の190万人になっています。最近では、私のようにUターンやIターン等の需要も増加していると聞きます。
 もう一つの理由は、札幌近郊の一軒家に住んでいる人の都心マンションへの住み替え需要です。雪国の冬の厳しさは、寒さと雪です。一軒家の場合は、玄関先から道路までの雪かきをしないと外に出られません。自宅の駐車場も雪かきが必要です。ロードヒーティングという手もありますが、いかんせんコストがかかり過ぎなので一般的には普及していません。若い年代のうちは体力的に雪かきが問題なくても、高齢になってくると雪かきは重労働になってきます。そのため、郊外の一軒家に住んでいる高齢者が利便性の良い都心部のマンションに移り住むという傾向が強いようです。
 このような理由で郊外の一軒家は非常に安いですね。札幌の都心部は、東京のようにはごみごみしていなくて、空気もきれいで買い物や病院通いに便利で快適です。最近では、東京近郊でもこの都心回帰の傾向はあるようですね。年をとって郊外の家に引きこもるのではなく、医療施設が充実していて文化的なイベント等を自由に楽しむシニアが増えているようです。しかしながら、東京の場合は、いかんせん都心の利便性の高いマンションは高額ですし、何かと生活コストは高くなってしまいます。文化的なイベント例えば、コンサートや演劇等も非常に高額なものが多いので頻繁にもいけません。一流のレストラン等もたくさんありますが、いつも行くわけにはいかないでしょう。東京は、お金さえ出せば何でも手に入るところではありますが、普通の人々には厳しいところでもあります。

 札幌に戻ってきて感じるのは、街が非常にコンパクトなので、住むにも外食するにもレジャーで自然にふれるのにも非常に利便性が高いということです。例えば、朝起きて、天気が晴れていてスキーに行こうかと思い立ったら、家を出て30分以内にはゲレンデに立つこともできます。ゴルフにしても、東京にいたら早朝から夜まで一日イベントになってしまいますが、30分ほどでティーグラウンドに立ち、スルーで回って午後からは別のことをすることができます。食にしても海の幸、山の幸、農産物、地元産の新鮮で美味しいものが比較的安価で手に入ります。レストランや飲み屋さんなども、スペースコストが安いためゆったりしていて、感覚的に東京なら10人入るようなスペースでも6人というようにゆったりとしているところも気にいっています。高級レストラン等も東京にはひけをとらず、非常にリーズナブルな価格で楽しむことができるのがうれしいです。一般的に、どこに行っても込み合う事が少ないので、生活全体に豊かさを実感できるのです。

 もちろん、良いことばかりではありません。お金を稼ぐという点では、一般的に道内企業の給与水準は東京よりも低いですし、仕事そのものもたくさんあるわけではありません。多くの道内産業は、農業、医療、電力、ガス、建設土木、公共投資等の関連産業です。道内企業で全国的、世界的にビジネスを展開しているのは、家具のニトリくらいでしょうか。そのため、働き盛りの若年層の多くは、職をもとめて東京方面にでていかざるを得ません。地方創生の名のもとに北海道発の新規ビジネス育成が急務となっているのが現状です。私自身も現在55歳で、このまま隠居生活に入るには元気があり過ぎるので、札幌を拠点として世界に打って出るようなビジネスをスタートさせたいと現在模索中です。
 これは、不動産投資に関するニュースレターですので、不動産投資の話題にもどしましょう。先ほど、高齢者や道外在住者の札幌都心回帰のため中心部のマンション需要が強いというお話をしました。私も自分の住むところを探す中でよくわかったのは、札幌のファミリータイプマンションの中古価格が数年前と比較して、じわじわと上がっていることです。
 理由の一つは、先ほどお話しましたように需給関係が強いことと、オリンピック特需のため人手不足と建築コストが上がっているため、新築マンションの売り出しが極端に少なくなっているからです。利便性の高い地下鉄駅周辺のマンション用地もすでに少なくなってきています。札幌駅北口に約10年前に建設された高層マンションは、その立地の良さと希少性から、新築の売り出し価格よりも50%高く取引された事例もあると聞きました。一昔前は、札幌のマンションは、東京と比較し非常に安いという印象でしたが、最近の流通価格を見ると割安感はずいぶんと下がりました。

 投資という観点ではどうでしょうか。一般的に、ワンルーム等の物件価格の安い不動産の表面利回りは高いのですが、分譲ファミリータイプで面積が広く物件価格の高い不動産の表面利回りは低くなります。不動産取得税や固定資産税、修繕積立金、管理費なども高くなりますので、実質利回りも低下しがちです。この傾向は、札幌だけでなく東京やその他の都市でも同じだと思います。
 賃貸家賃10万円を超えるファミリータイプのマンション賃貸需要は道内では少なく、本州からの転勤族や医療従事者がメインとなります。分譲ファミリータイプのマンションに投資する場合は、将来的に自分が住んでみたいと思えるような物件に絞った方がよいと思います。今は、東京で仕事をしているけれども、気にいった物件があれば購入して、賃貸しておき、減価償却費の給与合算で所得税還付と住民税減額で節税をして将来に備えるというような戦略はありだと思います。ファミリータイプを投資目的で所有する場合は、分譲マンションではなく、一棟ものマンションやアパートを買った方がよいでしょう。その方が、減価償却も大きくできますから。

 それでは、単身者向けのワンルームタイプはどうでしょうか。マクロでは少子高齢化で札幌だけでなく日本全体で、ワンルームマンション需要は下がっていく傾向にあることは事実です。しかし、需要は下がる傾向にあるけれども、需要がなくなることはありません。立地、利便性、グレード、快適性、家賃のバランスさえよければ、マクロ需要がどうなろうとも入居者と利回りは確保できます。気をつけなければならないのは、条件が良ければ良いほど、物件価格が高くなり、利回りは低下する傾向にありますから、自分の将来的な展望に基づいた投資戦略のもと物件選びをすることが重要です。よく書店にあるような「・・・で、不動産所得1億円!」という世界は、その時点では事実なんでしょうけれども、誰もが継続的に成功する方法なのかどうかはわかりませんから、じっくりと内容を精査し、鵜呑みにしないことも重要だとおもいます。不動産投資は、中長期レンジで取り組むものですので、一時的に収益が上がっても、あとからそのツケがくるような投資は、すべきではありません。

 最近は、日経平均株価が回復基調で一部で今後の経済の明るさが強調されている反面、NHKの特番で預金封鎖が取り上げられたりして、強弱感、先行き不透明感の強い日本です。実際に富裕層の海外移住や資産逃避も増えているようです。私も今まで外資系の世界にいて海外に住んだこともあり、リタイア後の海外移住も検討したことがありますし、海外不動産投資も調査しました。

 今回は、長くなりましたので、また、次回機会がありましたら、海外不動産投資について私の考え方を書いてみたいと思います。










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