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第九の鉄人 | 神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント) | |
不動産経営の将来:学生者向けは既に構造不況 part1 |
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"不動産投資は10年20年といった長期の投資です、当然そういうことから長い時間軸での将来性について検討しておく必要があります。そういうことで今回は需給バランスという視点での不動産経営の将来性について私見を述べさせて頂きたいと思います。ただいつも言っておりますように、不動産というのはエリアのばらつきが大きいので正確にはそのエリアの詳細分析が必要です。今回は全体としての需要と供給という視点であるということをお断りしておきます。 皆さんも少子化が進んでいるという話はよく耳にされていると思います。でも定量的に日本の人口分布が現在どういう状態で、今後どうなるのか、ということを真剣に調べられたことの有る方はあまりおられないのではないでしょうか。 まず現状について説明したいと思います。現在人口の最大のピークは52歳に有り約230万人です。この団塊の世代のピーク以降人口は減り、44歳の人口の約150万人まで減少しております。そして、今度は反転し16年間年約3万人のペースで増え、28歳の人口の約200万人となります。この第2のピーク周辺が俗に団塊ジュニアと呼ばれる人達です。そしてこのピークの後28歳以下では年約4万人のペースで減っております。そういうことで現在18歳の高校卒業生の人口は、ちょうど団塊の世代以降の最低水準である44歳人口の約150万人レベルまで減っています。 現時点での借家需要という点では単身者向けの借家は、大学生から結婚前の35歳を中心としたレンジを対象としていますので、28歳に人口のピークがあることや結婚年齢の遅延化にも助けられ全体需給としてまだ特に悪化しているわけではありません。しかし、大学生向けについては状況は多いに異なります。年齢が18-22歳と限定されるため、既に過去最低水準までの人口の減少の影響をダイレクトに受けております。場所によっては新築でも埋まらないという悲惨な状況が見られます。現在の状況はこういう構造的な原因に起因しています、単なる不景気という循環的な要因ではありません。 18歳以下についても同様のペースで人口は減っていますので、この供給過剰の構造は全く改善されるはずもなく更に年毎に悪くなって行きます。これはサブタイトルに書きましたように構造不況以外の何物でもありません。今後この影響は学生向けから一般の単身者向けまで拡大し、20年後楽観的に見てもおそらく約3割が空き部屋という状態になると予測されます。もちろんこの影響は家族向けまで波及して行きます。しかし、実のところ貸家の空き問題は結果の一つであるだけで、この人口の問題は経済全体に対しても労働人口の減少や総需要の減少といったネガティブな影響を与えて行きますので、家賃の方にも下げ圧力がかかると思われます。 こういう状況ですので、既にアパート経営をされている方は建てかえれば空き部屋が埋まるだろうと安易に考えられない方が良いと思います。状況はそんな簡単なものではありません、実のところ日本が経験したことのない未体験ゾーンに突入するのです。私は近い将来多くの素人アパート経営の方が財産を失うことになるだろうと予想しています。10年間家賃保証というのは我々からすれば冗談です、入居者の確保が難しくなるのは建物が痛んできた築後10年以降なのです。また、銀行の融資が付くから大丈夫だろうというのも全くあてになりません、銀行の融資担当者などいいかげんなものです、ことアパートに関して融資の判断は目先の6%の収益だけです、こんなもので2-30年のローンでも組もうものなら老後は期待した家賃が入らずローンだけ残るといった地獄が待っている可能性の方が高いでしょう。 とはいえマンション投資を考えられている方はやみくもに恐れる必要はありません、逆に考えれば3割空くということは7割は大丈夫ということなのです。マンションはマンションというだけでアパートに対し優位な立場にいます、アパートを含めた全体の中で上位7割に入れば良いという事は簡単なことです。但し、前述のようにエリアによっては2割程度家賃が下がることも考えられますので収益率にこのリスクを見込むことも必要です。 次回part2に続く・・・" |