部屋探し体験談

「26年前の男子予備校生専用寮」

商社勤務 東京都杉並区 K.T. さん

 26年前の1977(昭和52)年4月、私が19歳の時、「W予備校」に行くことになり、最初に一人住まいの為、賃借したのが、「W予備校」に紹介された東京都杉並区上井草(西武新宿線上井草駅)にある「男子予備校生専用寮」でした。


  木造2階建てで、3畳一間、トイレ共同、風呂なし(銭湯)でした。朝食・夕食賄い付きで、確か、賃借料と合わせて、月3万円位だったと記憶しております。「押し入れ付き」ということでしたが、なんと、隣の部屋との間をベニヤで仕切り、お互いの空間を出っ張りあいながら、押入れが作ってありました。




 又、「机・椅子付き」ということでしたが、実際に入ったところ、何もありませんでしたので、管理人さんに言ったところ、「ちょっと待ってて。」と言われ、おもむろに、板ととんかち・釘を持ってきて、ベニヤの壁に、その板を釘で打ち付け、「はい。机のできあがり。」と言われました。椅子は、折り畳みの椅子を持ってこられました。元々、3畳しかない空間に、出っ張った押入れと机で、益々狭くなり、その出っ張った押入れと机の下にせんべい布団を敷いて、寝ていました。




 その部屋は、隣とベニヤ板1枚で仕切られていた為、私は、夜12時前に早々と寝た後でも、隣のM君は、延々と、受験勉強を続けている様子で、鉛筆で書く音や、消しゴムで消す音まで聞こえてきておりました。




 方や、私の方はと言えば、持ち込み禁止のカセットレコーダーの音楽やら、出入り禁止の友人とのお喋りで、管理人さんから、度々、怒られておりました。勿論、夏は天然暖房(?)、冬は天然冷房(?)です。




 数年前、なつかしくなって、その寮を訪ねていきましたが、管理人さんは変わっていたものの、寮は残っており、新しい管理人さんは、快く入れて下さり、暫し、話をして帰りました。




 しかし、そのことを思えば、今の若い人は恵まれております。広めのバス・トイレ付きのワンルームマンションで、しっかりとした造りで、プライバシーも確保されており、エアコンも整備されております。更には、入居者が変わる度に、所有者によって、フロア・壁・天井も張り替え・塗り替えがされ、綺麗な部屋に入居できるのです。