マンション投資第二十二の鉄人 Ⅷ (2)
マンション投資第二十二の鉄人 Ⅷ
マンション投資第二十二の鉄人 東北地方在住 瀬谷 潤
現在、不動産投資における利回りは、この「12%超え」という物件が珍しくありません。
この数字だけを見れば、金融商品の超低金利の数字と比して、不動産投資の収益率とは
かなり高い数字になっています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
はっきり言って、不動産は、利率の保証された金融商品ではありません。
不動産投資における利回りとは、入居者がいて、その入居者が遅滞なく家賃を支払って
くれて、はじめて実現するということです。
空室になったり、家賃の支払いが滞ったりしたら利回りどころではありません。
どのような状況下においても、日々の固定経費(管理費・修繕積立金等)や、借金をして
不動産投資を実践している場合、元金と利息の返済等は毎月容赦なく掛かってきます。
更に、一般に言われる不動産の利回り計算には、隠れている数字があります。
それは、管理を委託する際の「管理委託料」と、家賃が送金される際に差し引かれる
「送金手数料」。不動産を所有していれば毎年必ずかかってくる、不動産の所有税である
「固定資産税」です。(但し、送金手数料が発生するのは、管理を業者に委託している場合
のみです。管理を業者に委託せず、オーナーが直接管理する場合、通常、送金手数料は
入居者負担ですから、送金手数料がオーナー側に発生することはありません。又、複数の
物件の家賃を一つの口座に入金してもらうことにより、送金手数料の一物件あたりの負担
割合を軽減することが可能です)
これらの経費も控除した上で利回り計算をしなければ、実際の利回りは出てこない。
しかも、空室リスク。家賃の遅滞リスク等は、利回りにはまったく反映されていない。
表面的には信じられないような高利回りでも、これが、不動産賃貸業という商売における
「収益率」の現実なんです。
不動産投資とは、物件を通して、入居者の方に「安全性」と「快適性」と「利便性」を提供し、
その対価として家賃をいただくという商売であり、「高利回りの金融商品」なんかでは断じて
ありません。
家賃を支払い、その物件に住んでいる方は、ある意味、その期間、その物件に人生を委ねて
いるのです。
「高利回りの金融商品」という感覚で、不動産投資を実践することは危険だと思う以上に、
何より、利回り中心に考える「金融商品感覚」で自己の物件を人に貸すこと事体、その物件に
住んでいただいている方に対し、失礼なのではないかとぼくは思いますが、皆さんはどの
ようにお考えになるのでしょうか。
著書紹介
『住宅ローン地獄からの生還』 マイブックル
『住宅ローン破綻 競売があなたを救う~実践者が語る最後の解決策』 早稲田出版
オフィシャルブログ 『瀬谷流プチ不動産投資日記』