仮登記 【かりとうき】 |
終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上、または手続法上の要件が完備していない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめなす登記をいう(不動産登記法2条)。後日要件が完備して本登記がなされれば、仮登記の順位が当該本登記の順位になるという順位保全効力を有する(同法7条2項)が、仮登記のままでは対抗力はない。このような仮登記の一時的・仮定的性格に鑑み、実務上仮登記申請の際には登記済証、利害関係人の承諾書の添付は必要とされず、さらに法律上仮登記権利者が単独で、仮登記義務者の承諾書を添付してする方法(同法32条)や仮登記仮処分命令によってする方法(同条33条)等、仮登記申請の特則が設けられている。
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仮登記 【かりとうき】 |
所有権移転登記などを行なうことが何らかの理由でできない場合に、仮に行なう登記のことを「仮登記」という。
例えば、A社がB氏に融資をした場合に「将来返済がされないときは、B氏所有の土地をA社に引き渡す」という契約を行なったとする。このとき、将来債務が返済されるかどうかは不確定であるので、所有権移転登記を行なうことは当然できない。そこで、A社はB氏所有の土地に対して仮登記を付けておく。
具体的には「所有権移転請求権仮登記、原因:売買予約、権利者:A社」という仮登記を付けておくことで、A社は確実に権利を保全できることとなる。 |
仮登記担保 【かりとうきたんぽ】 |
金銭債権を返済できない場合には、物を債権者に売却する(または物をもって弁済に代える)ことを債務者が約束し、そのことを仮登記しておくことを仮登記担保という。
例えば、登記の原因を「代物弁済予約」とし、登記の目的を「所有権移転請求権仮登記」として、仮登記を行ない、これによって金銭債権を担保するということである。
このような仮登記担保は、金銭債権が弁済されない場合に、債権者が物の所有権を取得することから、債権者の暴利行為を助長するおそれがある。そこで昭和54年4月1日に仮登記担保法が施行され、金銭債務の額を物の価額が超える場合には、債権者はその超過部分を債務者に返還する必要があるとされた。こうして現在では債権者の暴利行為が法律上禁止されている(仮登記担保法第3条)。 |
過料 【かりょう】 |
行政上の秩序を維持するために、行政法規上の義務違反に対して少額の金銭を徴収するという罰則のこと。行政法学では「行政上の秩序罰」として分類している。
過料は刑罰ではないので、刑法、刑事訴訟法は適用されない。
これに対して「罰金」「科料」は刑罰であり、刑法、刑事訴訟法が適用される。(詳しくは財産刑へ)
特に刑罰である「科料(かりょう)」と行政上の秩序罰である「過料(かりょう)」は混同されやすい。そのため前者を「とがりょう」、後者を「あやまちりょう」と呼んで区別することがある。 |
瓦葺き 【かわらぶき】 |
瓦とは、あらかじめ互いに重なり合うような曲面の形状に作られた粘土製等の板のことである。この瓦によって屋根を覆うことを「瓦葺き」という。
瓦には、その素材によって、粘土瓦、厚型スレート瓦などがある。
粘土瓦は、粘土を焼成して成型したもの。耐久性に優れるが、他の屋根材料よりも重く、かつ吸水性が高いという欠点もある。
厚型スレート瓦は、セメントと細骨材から作られた瓦で、粘土瓦よりも軽量・安価である。
瓦の形状には、本瓦、桟瓦、S瓦、スペイン瓦、フランス瓦、波形瓦、平形瓦などの多くの種類がある。
瓦葺きの工法については、かつては瓦の下に土を入れる工法を用いていたが、現在では瓦を銅線や釘で止める乾式工法が一般的である。 |
簡易課税制度 【かんいかぜいせいど】 |
消費税が課税される取引(これを課税取引という)にもとづく売上高を「課税売上高」と呼ぶ。
前々年における課税売上高が2億円以下であるとき、その会社または個人事業者は、仕入において支払った消費税額の複雑な計算をしないで、次のような簡単な計算で消費税額を求めることができる。
「 消費税を除外した課税売上高×(1-みなし仕入率)×5%=消費税の納税額 」
このように簡単な計算方法で消費税の納税額を求める制度のことを「簡易課税制度」と呼んでいる。
この「簡易課税制度」は1989年の消費税導入に際して、仕入に係る消費税額の計算の事務負担が大き過ぎるという批判によって導入されたものである。
また上記計算で使用する「みなし仕入率」は業種ごとに決められているが、不動産業・サービス業では全業種中で最も低い50%のみなし仕入率が適用されている。
なお、実際の仕入額が、みなし仕入率による仕入額よりも少ない場合には、課税売上高に対する消費税額の一部が国庫に納入されないこととなり、簡易課税を選択した事業者の手元に残ることとなる。
この「簡易課税制度」を選択する場合には、税務署への届出が必要である。 |
簡易耐火建築物 【かんいたいかけんちくぶつ】 |
主要構造部が、準耐火構造と同等の準耐火性能を有すると同時に、延焼のおそれのある開口部を防火戸等とした建築物のこと。
具体的には、主要構造部を「不燃構造」または「外壁耐火構造」とし、延焼のおそれのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物のことである。
この「簡易耐火建築物」は建築基準法において昭和34年に設けられた建築物の種類であるが、その後平成4年に「簡易耐火建築物」という名称が廃止された。
現在ではこの「簡易耐火建築物」は一般に「ロ準耐」という名称で呼ばれている。 |
換気 【かんき】 |
建築基準法によれば、住宅の居室には、換気のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法28条2項)。
この住宅の換気のための開口部の面積は、居室の床面積の20分の1以上でなければならないとされている。
ふすま、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法28条4項)。従って1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。
なお換気のための換気設備を有効に設けた場合には、上記のような広さの窓などを設ける必要はなくなる(建築基準法28条2項但書)。 |
関係人 【かんけいにん】 |
収用について利害関係を有する者であって、「土地所有者」以外のほぼすべての利害関係者を指す。
土地を収用する場合、関係人は、「土地に関する関係人」と「物件に関する関係人」に分かれる。「土地に関する関係人」は、土地に関し、地上権、賃借権、抵当権、仮登記上の権利、登記された買戻し権、登記された差押債権、登記された仮差押債権を有するものである。
「物件に関する関係人」は、物件に関して、所有権や、土地に関する関係人と同様の権利を有するものである。物件に関する関係人では、建物所有者、工作物所有者、立木所有者、借家人等も含まれることに注意したい。
また土地ではなく、物件のみの収用、地上権等の権利のみの収用なども行なわれることがある。この場合の関係人も、土地を収用する場合と同様である。
なお、関係人に含まれないが、意見書を提出できる者として「準関係人」が定められている(詳しくは「準関係人」へ)。 |